“相談される側”に必要だった視点――本当に機能する窓口とは【後編】

〈前回のあらすじ〉

社内で相談が全く寄せられなかったAさんの会社が、エィチ・シーサービス株式会社の社外相談窓口を導入したことで、初めて匿名相談が届くように。

ささいな違和感の積み重ねが、放っておけば大きな問題につながる――そのを見つける場所として、相談窓口が初めて機能し始めました。

しかし、相談が届くようになったことで、今度は「対応の難しさ」という新たな壁に直面します。



 

そんなとき、エィチ・シーサービスのコンサルタントから提案されたのが、「相談窓口担当者向け研修」でした。

「実際に相談が来るようになると、次に必要なのは“対応する側”の準備なんです。相談者と向き合うって、想像以上に心のエネルギーを使うんですよ。」

その言葉に、Aさんは思わずうなずいていました。

実際、相談内容は複雑でセンシティブなものが多く、ちょっとした一言が火種になることもある。

さらに、相談者ごとに置かれている状況も、受け止め方も違う。

正解のないやりとりに、どう対応していけばいいのか――

「“マニュアル通り”では動けないことも多くて、毎回が手探りなんです…。」

そんな悩みを抱えていたAさんにとって、その研修はまさに「今、必要だったもの」でした。

 


 

研修で最初に学んだのは、傾聴共感の違い。

ただ話を聞くだけでなく、相手の感情の動きに注意深く寄り添い、必要なときには言葉にならない部分にも耳を傾けること。
そして一方で、事実と感情を切り分けて冷静に対応する「中立性」も必要だということ。

Aさん「ただ優しくするだけじゃダメだったんだ」と気づきます。

 

研修では、傾聴スキルや中立的な姿勢、相談者の言葉の裏にある本当の気持ちに気づく視点など、実践的な内容を学びました

「共感しながらも、判断は冷静に」――そのバランスの取り方を、他のメンバーと一緒に体感できたことも、大きな収穫でした。

受講後は、「これ、どう扱うべきか悩むな…」そんなときも、一人で抱え込まずにメンバーと相談し合えるように。

対応の方針を共有しやすくなり、「自分たちの窓口」が、チームで育っていくような実感がありました。

担当者自身が相談対応で消耗しないためのセルフケアや、社内で孤立しないためのチーム対応の重要性についても実感できたようでした。

「担当者がしんどくならないことも、相談窓口を機能させる上では大事なんですね。」

 


 

実は、Aさんは最初、「社外窓口を設置すればそれでOK」と思っていたといいます。

でも、利用され、そしてその声を活かすには、社内との連携、そして何より「相談対応を担う人の力」が必要だったのです。

そして、「相談件数が多いか少ないか」では、本質的な評価にはならないということも実感したといいます。

――窓口は、使いたい人が安心して使える状態にあることが何よりも大切なのです。

むしろ、日常の職場環境が落ち着いていれば、相談件数が少ないこと自体は悪いことではありません。

でも、いざというとき「ここなら話しても大丈夫」と思える窓口があるかどうか。その機能こそが、企業の信頼につながります。

【必要なときに、きちんと機能する窓口がある】

それが、相談窓口に求められる真の役割なのです。

 


 

相談窓口は、設置して終わりではありません。

運用し、声を受け止め、企業として改善へとつなげる仕組みこそが、信頼される職場づくりのカギになります。

エィチ・シーサービス株式会社では、社外相談窓口の設置から、運用サポート・担当者研修までトータルで支援しています。

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