Part1では、パワハラの定義とその注意点についてお話しました。(関連記事:Part1)
では、会社として実践すべき「パワハラ対策」には、どんなことがあるのでしょうか?
当指針では、以下の「4つの措置」を、企業または事業主が実施すべき義務として、明示しています。
経営者や関係部署は、以下の項目をしっかりと把握し実施しましょう。
<パワハラ対策 4つの措置>
1. 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
2. 相談や苦情に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
3. 職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
4. 1~3までの措置と併せて講ずべき措置
1~3では、相談窓口の設置や研修の実施、再発防止の取り組みなど、各項目の具体的な施策が記載されています。
4は、相談者および行為者などのプライバシーを保護し、相談や苦情自体を理由として、解雇などの不利益な取扱をしないことを定めるものです。
ここで注目すべきポイントは、「4つの措置」の詳細をチェックすると、実はすべての項目で、「周知・啓発」が規定されている点だといえます。
つまり、相談窓口を設けたり、新しい規則を制定して終わりでなく、社内に広く知らされるように、常に経営者や関係部署はいかに正しく運用され、社員に浸透しているかを把握していくことが大切です。
企業として「パワハラ対策」として、周知・啓発をしていると認められる具体的な例は、以下の3つとなります。
<パワハラ対策 具体例>
1. 就業規則その他職場における服務規律等を定めた文書
2. 社内報、パンフレット、社内ホームページ、啓発のための資料による広報
3. 研修・講習
したがって、従業員に対しては、上記の方法で対策の内容を、全社的に伝達する必要があります。
パワハラ禁止の旨や、どのような対処をするのか、また、相談窓口を設置していることや、相談を理由に不当な扱いを受けないことなどをアナウンスしなければなりません。
また、経営者が十分なアナウンスを実践出来ていると考えても、それを従業員が理解していなければ、周知・啓発していることになりませんので、より深く、注意する必要があるといえます。
さらに、相談を受けた際に適切に対応できるようにマニュアル策定や、プライバシー保護、対応部門の担当者への研修など、経営者が指示すべきタスクは山積みです。
就業規則の変更や社内ホームページの更新、相談窓口の設置などの対策は時間がかかることから、早めに準備を始めると良いでしょう。
パワハラ対策をしっかりと進めておき、従業員が「働きやすい環境」を作れば、企業の成長につながっていくものです。
また、対策においては法律や指針に記載されていることに限らず、状況に応じた柔軟な対応が必要とされるでしょう。
これを機会に自社のパワハラ対策について見直し、よりよい対策を取られてはいかがでしょうか。