今回は、準大手企業の人事部で相談窓口の担当として働くAさんの会社から寄せられた、
パワーハラスメントに関するご相談をご紹介します。
社外相談窓口に届いたのは、ネットからの簡潔な相談文。
担当カウンセラーからの相談者に寄り添う返信が功を奏し、再相談の電話をいただきました。
そうして丁寧に話を聞くうちに相談者の本音がこぼれてきました。
相談者(40代・男性・勤続17年):
「本当はずっと我慢してたんです。でも、先日の会議で限界でした。」
カウンセラー:
「それはお辛かったでしょう。よろしければ、詳しくお聞かせください。」
相談者:
「定例会議の途中、取締役に『またミスか!』『信用に関わるぞ!』と怒鳴られました。
十人以上の前で…吊し上げみたいでした。自分はこれまでと同じ手順で進めていたはずなのに…。
一緒に働く同僚たちは尊敬できる人ばかりなんですが…その会議以降、仕事に手がつかなくなってしまって。」
カウンセラーは共感を示しながら、会社への報告について意思を確認しました。
相談者は
「個人攻撃だとは思っていない。ただ、このままでは同じことが繰り返される。改善のきっかけにしてほしい」と、
会社への情報開示と改善を希望しました。
企業側への報告を担ったのは、エィチ・シーサービスのコンサルタント。
相談者の改善してほしいという要望に則り、人事部のAさんに内容を引き継ぎます。
Aさん
「相談者さんが勇気を出して声を届けてくれたこと、本当に感謝しています。
外部窓口を通じて苦しみを受け止められたことが、担当者としては嬉しいです。
私たちが知らなかった現場の問題を、ようやく知ることができました。」
Aさんはすぐに社内調査の初動対応として、「事実関係の確認とヒアリングの実施」を決定。
相談者にも了承を得て、周囲や本人と個別面談による正式な聞き取りプロセスが始まりました。
今回は、周囲との人間関係は良好にもかかわらず、“上位者からの扱い”が原因で心に深い傷を負うケースでした。
パワーハラスメントは、「受け手がどう感じたか」だけでなく、行為の客観性と社会通念に照らして相当性があるかどうかが重視される時代です。
つまり、立場の優位性を利用して、業務上必要な範囲を超えた叱責や人格否定があれば、それはパワハラと認定される可能性があります。
とはいえ、すべての指摘や注意がハラスメントになるわけではありません。
企業としては、指導との違いを冷静に見極める視点と、事実確認の丁寧さが求められます。
次回の【中編】では――
吊し上げの背景にあった、職場内の「ズレ」と「誤解」。
パワハラを見過ごさないために必要な“線引き”とは何かを掘り下げます。
エィチ・シーサービス株式会社では
- 社外相談窓口の設置・運用支援
- ハラスメントの初動対応に関する社内研修・相談窓口担当者向けレクチャー
- 「適切な指導とハラスメントの違い」についての管理職向け研修
などを通じて、声が届く職場づくりをサポートしています。
「声が上がらない」「現場の空気が読めない」「パワハラかどうかの判断に迷う」
そんなときは、ぜひエィチ・シーサービスにご相談ください。
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