内部通報は“最後のチャンス”――信頼される窓口の条件とは【前編】

Aさんは、準大手企業の人事部で働く、相談窓口の担当者です。

ある日、エィチ・シーサービス株式会社が提供する社外相談窓口より、1件の相談が匿名で寄せられたと、報告を受けました。

 

「同じ部署の同僚が、営業部の部長から毎日のように叱責されていて、見ていてつらくなります。深夜や休日も連絡が来るそうで、まともに休めていません。

体調を崩しても休ませてもらえず、“自己管理ができていない”と責められているようです。

最近は、退職をほのめかしたところ、『契約が飛んだら損害賠償を請求する』とまで言われたと聞きました。

このままでは壊れてしまうと思い、どうしても誰かに伝えたくて連絡しました。」

 

通報者本人が当事者ではなく、「見かねた同僚」として声を上げた今回のケース。

その背景には、誰にも相談できないまま、静かに追い詰められていく職場の実態がありました。


 

ヒアリングを通じて明らかになったのは、当該部署の社員たちが社内の相談窓口を「信用できない」と感じていたことでした。

 

・「社内に相談窓口があるのは知っていました。

 でも、相談内容が人事や上司に筒抜けになるんじゃないかと不安で…」

・「以前、同じ部署の別の人が相談したとき、なぜか異動になって。

 結局、“相談した人が悪い”みたいな雰囲気になってしまって…」

 

制度があっても、信頼されていなければ機能しません。

今回、社外窓口が選ばれたのは、そこに“心理的安全性”があったからでした。


 

エィチ・シーサービスの社外相談窓口が間に入り、通報者の不安に丁寧に寄り添いながら状況を整理します。

匿名性を守ったうえで、必要な情報を担当者へフィードバックを行うことで通報者の不安も払拭されました。

人事部担当者を通じて事案の当事者たちへの面談や指導、対処が行われ、

同社の法務部門や顧問弁護士など外部専門家の助言も受けながらマネジメント体制の見直しがなされました。

その後、当該部署のスタッフからは「部署の雰囲気も良くなり、安心して働けるようになった」という声も聞かれたということです。


 

後日、Aさんはこう振り返ります。

「一度失ってしまった社内窓口の信用を取り戻すのは難しいですね…。“どこかに届く道”を増やしておいてよかった。

社外窓口を通じて寄せられた声が、現場の状況や環境の改善につながったことは大きな意味がありました。」

このひと言に、エィチ・シーサービスの担当コンサルタントは答えました。

 

「相談する側は最初から会社を糾弾したいのではなく、助けを求めているケースが多いです。

“通報”を“告発”に変えないためには、最初の声をどう受け止めるかがすべてです。」

 


後編では

通報と告発の違いとは何か?

企業が最後のチャンスを生かすために必要な仕組みとは?

信頼される相談窓口の設計ポイントを深掘りします。

【後編】へつづく

 

 信頼される窓口を、企業の力に。

エィチ・シーサービス株式会社では、社外相談窓口の設計・運用支援から、制度設計・担当者研修まで一貫してサポートしています。

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