問題社員が居ることは、勤務態度が悪かったり、能力不足で仕事ができなかったり、職場の環境を悪くする大きなマイナス要因となります。
企業の課題としてこのような社員にどのような対応をすべきなのか、またどう対応することが望ましいのかを知っておくことが大切です。
今回は以下について解説します。
③問題社員への適切な予防、対応策とは
すでに事案となっているケースでは人事措置による対策を行います。
また、再発防止のための予防も併せて行うことが推奨されます。
人事措置の基本的な流れは以下五つの通りとなります。
一.現状把握
事案の原因や問題を把握します。公平性と客観性を持たせるために問題にかかわった当事者だけではなく、周辺からの聞き取りも行います。
二.注意・指導
より具体的に本人に合わせた注意・指導を行います。
定期的な面談を入れながら改善を図ります。
三.配置転換
状況に応じては配置転換で改善を図ることも一つの方法です。
四.懲役処分
指導もむなしく改善が見受けられない場合は戒告、減給、出勤停⽌等の懲戒処分を検討します。
指導にあたり事前に処分理由を明確にして問題社員に伝えておくことが⼤切です。
五.解雇
懲戒後も改善が見受けられない時には、最終的に解雇を検討します。
但し、解雇のハードルは非常に高く、不当解雇と⾔われないためにも、改善する機会を⼗分に与え、指導記録も残した上で判断することが重要です。
また予防策として、労働条件や就業規則の整備、恒常的な研修による啓蒙や相談窓口の設置による悩みや不平不満の受け皿を作ることが有効です。
④注意・指導を実施する際の注意点とは
問題社員へ対応する場合は以下六つの点に注意しましょう。
一.的確な判断
確り状況確認をして、更に社内の制度や仕組み、啓蒙活動に問題がないかを客観的に精査したうえで、明らかに個人に原因があると判断できたときに対応策を実施します。
二.説明準備と記録
対応策を行うにあたり、会社の対応が不当、不誠実と問題社員にとられないように十分さ説明と理解を求め、その全てのフローを記録します。
説明を求められた場合でも、企業側が客観的事実をもとに行動にうつったと明示できるように準備をしておくことが大切です。
三.プロからの助言
懲戒処分や解雇を行う際には、法的リスクを負わないためにも顧問弁護士や社労士の助言を受けながら正しい手順で手続きを進めるようにしましょう。
また問題社員とは言え、相手は感情のある人間です。
法的な問題だけではなく、相手側への配慮も忘れないでください。
四.関係者への配慮
問題社員の指導と同時に同じ職場の関係者に対するケアも必要となります。
問題社員からの悪影響によるストレスやモチベーションの低下に始まり、場合によってはメンタル不調になる社員もいるかもしれません。
問題社員が発生した場合はその周りに対しての面談などのケアを行い、職場環境の悪化を予防してください。
五.採用選考の見直し
現状、解雇のハードルは非常に高いです。
出来ることであれば、問題社員を辞めさせるのではなく、ミスマッチを起こしそうな人物は採用をしないことが一番です。
出来れば採用面接官個人の意見だけではなく、適性検査やリファレンスチェックなどを活用してより客観的な判断をすることでリスクを軽減させましょう。
六.対応の心得
最後に問題社員へ対応する担当者は、常に冷静かつ客観的な観点で対応することを心がけてください。
問題社員に対して過度に寄り添ったり、逆にむやみに助言をしたり諫めたりする必要はありません。
企業側の代表者として、本当に問題社員なのかどうかを冷静に判断することが重要です。
このように、問題社員に対し、適切な予防・対応・指導を行うことで、職場内の環境は大きく改善します。
しかし、その際には一番大事なポイントをおさえておく必要があります。
正しい問題社員対応は出来ていますか?【後編】 へ続きます。