【相談事例 case : 2】退職時におけるトラブルの対応 ~回答編1~

    前回、当窓口に自動車部品メーカーの従業員Tさんから相談がありました。

自身の上長であるE部長に退職の意思を伝えたにもかかわらず話が進まないとの相談ですが、

当窓口はどのように対応するのでしょうか。

回答編になります。(関連記事:【case:2】相談編回答編2


 相談員は、相談の内容から労務分野の話に分類されると判断し、

コンサルタントに報告し、対応について指示を仰ぎます。

 

 報告を受けたコンサルタント(以下)は、状況を整理します。

  • 相談者さんの話をまとめると退職の意思を伝えたにもかかわらず、話が進まない状況にある。

  Tさんの希望は後任に早く引継ぎをして退職をしたいので人事部の担当者に繋げる必要がある。

  • E部長からは嫌がらせと思われる発言がある。
  • ・相談者の希望は早く退職をしたい。
  • ・本案件の注意事項としては、相談者は退職出来ればいいというが、

  会社的にはE部長のハラスメント発言についての情報の無視できないと思われる。

 

本事案を会社に対応要請するためには、相談者名前を会社側担当者に開示して頂く必要がありますが、

Tさんが不安がっていたこともあり、一先ず「匿名希望の相談者」として報告し、対応を相談することにすると判断しました。

 

は、人事担当者(以下に匿名希望で相談があったことを伝えました。

上長に対して退職を申告しているが、上長がその話を先延ばししている可能性があり、相談者に退職を翻意させるために、

パワハラと感じられる強い発言もなされている。という状況を報告しました。

 

H『Sさん、お世話になっております。今回の相談は承知いたしました。

 現時点でこちらには、退職願いが人事に申請されている事案はありません。

 今はどの現場も人手不足で、E部長としても辞めて欲しくないという気持ちが働いているのかもしれません。』

 

 に本案件について、会社側にどのような対応が必要であるか、どの様なトラブルが生じるかについて意見を求めた。

 

S『人手不足から引き留めたいという考えは理解できます。

 しかし、『職業選択の自由』の観点からも今回の行動には問題があります。

 加えて、相談者自身は退職後の現場への影響に配慮まで考えて余裕をもって上長に伝えてとのことでした。

 また引き留めの発言に関しても『パワハラ』と取られる可能性もありました。

 これが事実であれば、好ましくない状況です。

 一先ず、いつ退職出来るかの結論の前に、人事部として相談者との間に面談の時間を設けて頂いたらどうでしょうか。

 その場で今までの経緯を相談者から直接聴取されることがよろしいかと。』

 

H『ありがとうございます。まずは状況を確認する為にも面談をしたいと思います。

 ただ、相談者が匿名の状況では、こちらとして対応のしようがありません。

 E部長の態度についても、相談者からの一方的な情報で判断する訳にはいかないので

 名前を開示してもらえように繋いでもらえると助かります。

 また、同社退職制度について確認し、就業規則上は1か月前の申告となっているので、

 相談者の行動は規則に沿っているのではないかと思います。』

 

『相談者には、退職についての行動には問題がないとのコメントを貰ったことを伝えます。

 人事担当者のHさんは直接相談を希望していることでしたが、対応するには名前を開示してもらう必要があること、

 開示した場合には十分配慮して頂けることを伝えます。

 相談者は、E部長に対しての遠慮と警戒心が非常に強いので慎重に進めてください。

 社員を敵にまわしてはいけません。適切なご対応をよろしくお願いいたします。』

 

H『ご助言ありがとうございます。

 こちら側としても状況をしっかり確認して対応させていただきます。』

 


 

 今回の相談についてコンサルタントのは、人事担当者に報告及び今後の対応の助言をしました。

    次は相談者のTさんに会社側の回答を連絡します。

 果たして無事に会社側と繋げることはできるのでしょうか。

 

 次回、回答編2に続きます。 

 

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