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「どうしても線引きが難しいのですが、どう考えるべきでしょうか…」
準大手メーカーB社の人事担当・Cさん(仮名)は、エィチ・シーサービス株式会社の社外相談窓口に電話をかけました。
声には疲れと迷いがにじんでいました。
B社は地元で長年支持されてきた歴史ある企業で、社員の多くが20年以上勤務しています。その結束力と愛社精神は非常に強く、品質や納期に対する意識も高い職場です。
しかし最近、製造部門で若手社員から「指導が厳しすぎるのでは」という声が複数寄せられました。
ベテラン社員による新人への指導は、会社の基準や伝統を守るためのものです。
とはいえ、そのやり方には厳しい言葉や繰り返しの叱責が見られることもあり、受ける側は萎縮してしまう傾向が年々強まっていました。
今回の声は一過性のものではなく、見過ごせないとCさんは感じていました。
しかしこれは「熱心な指導」なのか「パワハラ」なのか――その境界線が見えにくく、判断に迷っていたのです。
社外相談窓口ではカウンセラーが対応し、Cさんの不安や迷いを丁寧に受け止めました。
その後、より具体的な助言を得るために、経験豊富なコンサルタントへと引き継がれていきました。
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指導とハラスメントを分ける基準
コンサルタントがまず伝えたのは、ハラスメントの判断基準は「社内基準(ローカルルール)」ではなく、「世間一般の基準(グローバルルール)」で行うべきだということでした。
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- 指導:業務遂行や成長を目的に、相手の人格を否定せず、必要かつ適切な範囲で行うもの
- ハラスメント:人格を否定する、威圧する、過剰な叱責を繰り返すなど、業務目的を逸脱した言動
同じ言葉でも、職場の空気や相手との距離感によって受け取り方は変わります。
特に、指導する側とされる側の普段の関係性や信頼度は大きな影響を与えるため、普段から良好な人間関係を築くことが境界線を曖昧にしない土台になるのです。
Cさんは深くうなずきながらも、同時に思いました。
「それでも、なぜうちの会社では“厳しすぎる指導”が起きやすいのだろうか…?」
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Cさんが抱える悩みの背景には、B社ならではの「強すぎる愛社精神」が隠れていました。
一見すると誇るべき企業文化が、なぜハラスメントの温床となるのか――。
次回は、その構造的な落とし穴を詳しく見ていきます。
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エィチ・シーサービスでは
相談者の声を守りながら、企業の改善につながる情報提供を行い、ハラスメント防止や職場改善をサポートしています。
従業員からの悩みだけでなく、人事担当者からの疑問や懸念にも経験豊富なコンサルタントが助言します。
「うちは大丈夫」と思う企業ほど、見えない落とし穴が潜んでいるかもしれません。
安心できる職場づくりのために、ぜひエィチ・シーサービス株式会社の社外相談窓口をご活用ください。
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境界線が見えなくなるとき──愛社精神と厳しい指導の狭間で【前編】