体臭・遅刻・居眠り…“問題社員”への適切な対処法──決めつけが招くリスク【中編】

■前回のあらすじ

製造現場から寄せられた「ある社員」への複数の苦情。体臭のきつさ、度重なる遅刻、作業中の居眠り…。

面談や口頭注意など、できる限りの対応を試みたものの改善は見られず、現場の不満は増大。

一部からは「異動や退職を」との声も上がる中、軽々しい処分はできず、

行き詰まった末、総務担当者は第三者の視点を求め、エィチ・シーサービスの社外相談窓口に助言を求めました。



 

■安易な決めつけはリスクを生む

現場の総務担当者からエィチ・シーサービスの相談窓口へ寄せられた相談は、まずカウンセラーがねぎらいと寄り添いの姿勢で受け止めました。

その後、カウンセラーからコンサルタントへ引き継ぎ、具体的な対策を検討のうえ本社担当へ報告。

すると本社担当から、「臭いの問題は判断が難しい。どのように対応すべきか」と逆に当社へ相談が寄せられたのです。

 

これを受けたコンサルタントは、まず次の2点を強調しました。

 

臭いの問題はデリケートな領域

近年では体臭の指摘が「スメルハラスメント」とされる事例もあります。

悪意がなくても伝え方を誤れば、人格否定や差別と受け取られ、パワハラ等と見なされる可能性があるため、細心の注意が必要です。

 

遅刻や居眠りを怠けと断定しない

睡眠障害、精神的ストレス、生活習慣の乱れなど、健康や環境要因が背景にある場合は少なくありません。

表面的な行動だけで判断し、頭ごなしに叱責すると、本人をさらに追い詰めるだけでなく、企業にとってもパワハラ等のリスクになります。

 

このアドバイスを聞いた総務担当者は、「確かに、これまで“本人の怠慢”と決めつけがちだったかもしれない」とハッとした様子を見せました。

「これなら本人の立場も守りつつ、現場の不満にも対応できるかもしれない」と、表情が少し和らぎ、対応の糸口が見えた手応えを感じていました。

 


 

次回は、実際に提案した「段階的な対応ステップ」を具体例とともにご紹介します。

健康面への配慮から始まり、職場衛生環境の維持義務に基づく正式な指導まで、どのように順を追って進めれば本人の負担を減らしつつ周囲の不満を解消できるのか。

さらに、企業の安全配慮義務と従業員の責任を両立させるための実践的アプローチについても解説します。


 

エィチ・シーサービス株式会社では、

  • 当社の社外相談窓口は、従業員の相談だけでなく、人事担当者や管理職からの「判断が難しい」「現場が行き詰まっている」といったケースにも対応します。

    法的な視点と現場感覚をバランスよく取り入れ、単なるルール適用ではなく、職場全体の信頼関係を守るための助言を行います。

    社内だけでは解決が難しい時、第三者の伴走が大きな力になります。
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