“正しさ”から“伝わり方”へ──気づき合うことで変わる職場【後編】

■前回のあらすじ

女性上司による厳しい指導の裏には、

「自分がしっかりしなければ」という無意識のプレッシャーがありました。

一方、男性社員も「弱音は吐けない」という思い込みに縛られていたことがわかりました。

性別ではなく、立場役割に潜むアンコンシャス・バイアス──

その存在に気づいた会社は、問題を「誰かの落ち度」ではなく

「組織として学ぶべきテーマ」として受け止め始めます。

 



 

社内ではこの事例をきっかけに、

ロジハラ防止やアンコンシャス・バイアスへの理解を深める取り組みが始まりました。

「正しいことを言っているのに、なぜ伝わらないのか」

そんな日々の小さな違和感に目を向け、

論理性共感の両方を大切にする研修やミーティングが企画されます。

特に管理職向けには、指導に必要な言葉の言い換えや、

相手の受け取り方を意識した伝え方を学ぶ

アサーティブ・コミュニケーションの研修が導入されました。

また、上司からの一方的な面談ではなく、

立場を問わず意見を交わせる対話の場を定期的に設け、

「少し気になること」「モヤっとしたこと」を安心して言葉にできる環境づくりが進められています。

小さな気づきを見過ごさず共有できる関係性こそが、

心理的安全性の高い職場を支える基盤となるのです。

 


 

ハラスメント防止と聞くと、

「何をしてはいけないか」を教えるものだと思われがちです。

けれど、本当に大切なのは、「どうすれば互いを理解できるか」を考え続けること。

立場や性別に関係なく、誰もがバイアスに影響される可能性がある──

だからこそ、気づいた人から優しく声をかけ合える職場が理想です。

 


 

そしてもう一つ、今回の事例が教えてくれたのは、

性別ではなく管理職という役割としての配慮が求められるということ。

「上司だからこそ、伝え方ひとつで相手を励ますことも、追い詰めることもある」。

その視点を持てるかどうかは、組織リスクの大きな分かれ道になります。

ハラスメントを「個人の問題」としてではなく、

「組織のマネジメント課題」として捉えること。

その意識の転換こそが、信頼を損なわない職場づくりの第一歩です。

 


 

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