「ちゃん付け」を見直す――小さな呼び方が与える影響【後編】

■前回のあらすじ

度重なる「ちゃん付け」と、不必要に近い身体的距離、容姿への言及に苦しんでいた相談者。

 社外相談窓口でのカウンセリングを通じ、それが彼女の忍耐不足ではなく、解決すべき事案であることを確認しました。

「現状を変えたい」――そう決意した彼女と共に、次なるステップへと進みます

 



 

エィチ・シーサービスの社外相談窓口コンサルタントは、相談者の同意を得て、

会社の担当者に報告をしたうえで状況を整理し、以下の助言をしました。

まずお伝えしたのは

「“ちゃん呼び”という行為そのものは、直ちにハラスメントと断定されるものではない」

という点です。

職場には長年の関係性や慣習があり、親しみを込めて呼ばれるケースも珍しくありません。

呼称に対する受け止め方は人それぞれであり、一律に禁止することが正解とは限らないからです。

しかし、「複合的要因」でリスクは変化するのです。コンサルタントは続けてこう説明しました。

「“ちゃん呼び”単体では判断しにくくとも、そこに『相手の性別・年齢・立場・権限の差』が組み合わさることで、

 ハラスメントの“要因”へと変化していく可能性があります。

 だからこそ、軽視せず早めに整理することが大切です」

 


 

つまり、ちゃん付けは単独では小さな問題に見えますが、その積み重ねや周辺要素(今回は不必要な接近や容姿言及)との掛け合わせによって、

対象者次第では相手の尊厳を傷つけ、職場環境を悪化させる引き金になる危険性があるのです。

さらにコンサルタントは、最新の動向にも触れました。

「最近の判例でも、”ちゃん呼び”が職場における不平等な扱いや精神的負荷の一因となりうるとして、ハラスメントの要素として認定されたケースが出ています。」

法的な判断基準も少しずつ厳格化しつつある現在、企業としては、従来より一段階警戒レベルを上げて対応する姿勢が求められています。

「呼び方くらいで」と放置するのではなく、企業として予防的に対応し、従業員が安心して働ける環境づくりを進める必要性を訴えました。

 


 

その後の企業側の対応は迅速かつ誠実なものでした。

まず、彼女と男性社員の物理的な接触を減らすため、自然な名目で席替えと業務担当の変更が行われました。

そして、男性社員に対しては人事担当者より、別の用件を経由してそれとなく事実確認のヒアリングが実施されました。

男性社員は当初「親愛の情だった」と戸惑っていましたが、

指導担当者が「相手が恐怖を感じている以上、それは容認できない。」と毅然と諭したことで、自身の振る舞いの認識の甘さを反省しました。

さらに会社は全社員に向けて「職場における適切なコミュニケーションに関するガイドライン」を再周知しました。

「相手を尊重する呼び方をしよう」「パーソナルスペースを意識しよう」 そうした当たり前のルールが明文化されたことで、

職場の空気は少しずつ、しかし確実に変わり始めました。

 

一連の対応が落ち着いた頃、再び彼女からお電話をいただきました。

「おかげさまで、最近は安心して仕事に行けるようになりました。

 例の男性社員との接触も減り、それだけでこんなに気持ちが楽になるんだって驚いています」

電話口の声は明るく、以前のような震えはありませんでした。彼女はこう続けました。

「最初は電話するのを迷っていました。自分が大げさすぎるんじゃないかって。

 でも、ちゃんと話を聞いてもらえて、会社も動いてくれて……。

 私はここで働いていていいんだって実感できました」

 


 

エィチ・シーサービスでは

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