-
かつて、会社員にとって「昇進」は無条件に喜ばしいものでした。
-
しかし、働き方が多様化し、個人の価値観が尊重される現代において、管理職への打診は必ずしも歓迎されるニュースではなくなっています。
-
「期待されているのは分かるけれど、どうしても受けたくない」 「断ったら会社での立場が悪くなるのではないか」
-
そんな、誰にも言えない葛藤を抱え、エィチ・シーサービスの社外相談窓口に電話をかけてくる社員の方が増えています。
-
今回は、ある中堅社員から寄せられた「昇進辞退」の相談事例をもとに、
働く人の心理と企業が取るべき対応について、考えていきます。 -
-
「実は……上司から昇進の打診があったのですが、どうしても受けたくないんです。
-
でも、これって業務命令ですよね? 断ったら問題になりますか?」
-
電話口の向こうで、相談者(30代後半・技術職)は不安そうに切り出しました。
-
声のトーンからは、本来なら喜ぶべき「評価された」という事実が、彼にとっては重いプレッシャーでしかないことが伝わってきました。
-
相談者は、真面目で責任感の強いタイプ。
-
これまでも与えられた業務を確実にこなし、周囲からの信頼も厚い人物です。
-
会社側が「次はリーダーとしてチームを引っ張ってほしい」と考えるのは自然な流れでした。 しかし、彼自身の心は追いついていませんでした。
-
「管理職になると、部下のマネジメントや会議が増えますよね。今の現場仕事が好きなんです。
-
それに、責任が重くなることに耐えられる自信がなくて……」
-
-
会社にとって昇進は「キャリアアップ」の機会ですが、働く個人にとっては、業務内容、責任の重さ、労働時間、そして生活リズムそのものが変わる大きな転機です。
-
相談者は続けました。
-
「上司は『君ならできる』と言ってくれます。その期待を裏切るのが怖くて、その場では曖昧に笑ってしまって……。
-
でもこのまま流されて昇進したら、自分が潰れてしまうんじゃないかって」
-
彼を追い詰めていたのは、「昇進を断る=やる気がない社員=会社への背信行為」という思い込みでした。
-
「みんな目指している道なのに、嫌がる自分はおかしいのではないか」という自責の念が、誰にも相談できずに一人で抱え込む原因となっていたのです。
-
-
昇進を拒む気持ちは、決して珍しいものでも、恥ずべきことでもありません。
-
まずは、相談者が勇気を出して電話をかけてくれたこと。
-
それが、彼自身と会社双方が不幸なミスマッチに陥るのを防ぐための、重要な第一歩でした。
-
次回は、カウンセラーがどのように彼の心の奥にある「本当の理由」を紐解き、
-
上司へ伝えるための準備を整えていったのか、そのプロセスをご紹介します。
-
エィチ・シーサービスでは
-
「昇進辞退」や「管理職への忌避感」は、潜在的な離職リスクのサインかもしれません。
-
エィチ・シーサービスの『社外相談窓口』は、社員が社内では言いにくいキャリアの悩みを早期に受け止め、
-
組織として適切な対応ができるようサポートします。
-
ご相談・お問合せはこちらから。
「昇進したくありません」はワガママですか?――社外相談窓口に届いた、キャリアへの迷いと本音【前編】