■前回のあらすじ
真面目な中堅社員である相談者は、上司からの昇進打診に対し「受けたくない」という強い拒否感を抱いていました。
「断れば評価が下がるのでは」という恐怖から一人で悩み、社外相談窓口に連絡。
前編では、昇進が必ずしも正解ではない現代において、
彼が抱える「期待への重圧」と葛藤についてお伝えしました。
- 「昇進したくありません」はワガママですか?――社外相談窓口に届いた、キャリアへの迷いと本音【前編】
- 「自信がない」の裏にあるもの――対話で見つけた、昇進を拒む“本当の理由” 【中編】
- 「強制的な昇進」はパワハラになる?――企業が選んだ、法よりも大切な解決策【後編】
「管理職になるのが不安」 相談当初、彼が語った理由は漠然としたものでした。
しかし、単に「自信がない」という言葉だけで片付けてしまうと、問題の本質は見えてきません。
担当カウンセラーは、彼の話を遮ることなく、一つひとつの言葉を丁寧に拾い上げながら、背景にある事情を深掘りしていきました。
- 役割の何が負担なのか?(スキル不足か、対人ストレスか)
- 現在の業務量は適正か?
- プライベートな事情はないか?
カウンセラーとの対話を通じて、彼の中にあった「絡まった糸」が少しずつ解け始めました。
話を整理していく中で、彼が昇進を頑なに拒む具体的な理由が3つ浮かび上がってきました。
- 現場業務の多忙さ: 現在でもプレイングマネージャーのような動きをしており、
これ以上「管理業務」が上乗せされると、キャパシティオーバーになるという
切実な危機感。 - プライベートの事情: 実は最近、同居家族の介護が必要になり始めており、
残業や突発的な対応が増える管理職の働き方は、
今の生活維持にとって物理的に不可能であること。 - キャリア観の相違: 「人を動かす」ことよりも、「専門スキルを極める」ことに
貢献意欲を感じていること。
これらは単なる「ワガママ」や「自信欠如」ではなく、彼が働き続けるために無視できない現実的な課題でした。
「……こうやって話してみると、ただ『嫌だ』と言いたいわけじゃなかったんですね」
相談者は、自分自身の状況を客観的に理解できたことで、少し落ち着きを取り戻しました。
そこでカウンセラーは、現実的な注意点も含めて、次のように伝えました。
「一つ知っておいてほしいのは、日本の労働法では、企業には強く人事権が認められているという点です。
理由のない業務命令拒否は、原則として通らないのも事実です。
だからこそ、『嫌だからやりません』という伝え方だけだと、懲戒処分の可能性もあります」
そのうえで、こう続けました。
「ただ、今回あなたが整理できた内容は、どれも働き続けるうえで無視できない、まっとうな理由です。
業務量、介護、キャリアの方向性――これは感情論ではなく、現実の課題です。
きちんと背景として伝えれば、会社側も耳を傾けてくれる可能性は十分ありますよ」
「今回整理できたこれら3つの理由を、一度そのまま上司の方に伝えてみませんか?
『昇進したくない』という結論だけを伝えると誤解を生みますが、
『なぜ今は難しいのか』という事情を共有すれば、会社も別の選択肢を考えられるかもしれません」。
漠然とした不安は、言語化することで「解決すべき課題」に変わります。
社外相談窓口の役割は、相談者の混乱した感情を整理し、会社と建設的な対話ができる状態へと導くことにあります。
次は、この相談を受けたエィチ・シーサービスが会社側へどのように報告・助言を行い、どのような解決に着地したのかをお伝えします。
エィチ・シーサービス株式会社の社外相談窓口では、
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昇進辞退やモチベーション低下の背景には、介護や健康問題など、
上司には直接言いにくい事情が隠れていることが多々あります。
エィチ・シーサービスの『社外相談窓口』は、第三者の立場で事情を整理し、会社と従業員の建設的な対話をサポートする架け橋となります。
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