【中編】「通報」の前に必要なもの。社外相談窓口が“心理的ハードル”を下げる理由

■前回のあらすじ

前編では、人事担当Bさんの事例を通じて、「相談件数が少ない=健全」とは言い切れない現実をお伝えしました。

退職時の告白やSNSへの投稿など、窓口を通らずに表面化する不満の存在。

内部通報や相談窓口の本来の役割は、問題が深刻化する前に気づける状態をつくることにあります。

いま見えている「静けさ」が、本当に安全なのか。その問いを投げかけました。

 



 

「相談件数が少ない=安全、とは言い切れない気がするんです」

Bさんはそうした違和感を抱いていました。

 

確かに、窓口には届かない声が、退職や匿名批判という形で表れている現状があります。

そこで、これまで多くの企業様で見てきた「従業員の心理的傾向」をBさんにお伝えしました。

実は、多くの従業員は『不正の告発』ばかりを考えているわけではありません。

 

「これって私のわがまま?」

「ただ、少しモヤモヤしているだけかも」

「大ごとにしたいわけじゃない」

 

こうした「通報」の前段階で立ち止まり、「相談」するかどうかで迷っている人がほとんどなのです。

社内相談窓口は存在していても、迷っている人が安心して話せる「入口」になっているかどうかは、別の問題です。

多くの企業で共通して見られるのが、この「社内相談窓口ゆえの心理的ハードル」です。

 

「いきなり大ごと(社内調査)になってしまうのではないか」

「人事や上司に筒抜けになり、自分の評価に響くのではないか」

「告げ口をしたと思われ、居場所がなくなるのではないか」

 

こういった不安が、相談しようとする声を飲み込ませてしまいます。

結果として、行き場を失ったことで積み重なった不満はSNSへの書き込みや外部告発、

あるいは「静かな退職」へとつながってしまうのです。

 


 

社外相談窓口の役割は、通報を増やすことではありません。

まずは感情を整理し、「今何が起きているのか」を落ち着いて言葉にできる場をつくることです。

感情を整理し、事実を切り分け、冷静な対話へと橋渡しをする「緩衝地帯」になることです。

 

「なるほど……窓口は『制度』ではなく、『安心の入口』であるべきなんですね」

 Bさんは、社外相談窓口が果たすべき安全弁としての機能に、改めて納得されたようでした。

第三者だからこそ話せる、という安心感が、組織の自浄作用を動かすスイッチとなります。

しかし、ただ「外」に作ればよいわけではありません。

 

次回は、制度を「機能させる」ために必要なもう一つの要素についてお伝えします。

 


 

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