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2022年4月より、すべての事業者に対して社内相談窓口の設置が義務化されました。
これにより、企業におけるコンプライアンス意識の向上に加え、
社員が安心して声を上げられる環境づくりや、組織全体の健全性向上への取り組みが一層進んでいます。
しかし、窓口を設置したあとに多くの企業が直面する“もう一つの壁”をご存知でしょうか。
今回は、前回の連載で社外相談窓口の重要性に気づいた人事担当Bさんの「その後」のエピソードを通じて、窓口担当者の知られざる苦悩に迫ります。 -
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「正直に言います。相談窓口の担当者って、思った以上に大変で…私、もうパンクしそうです」
ある日、Bさんは疲労困憊の様子で弊社コンサルタントに打ち明けました。
経営層を説得し、社内窓口の運用を本格化させたBさん。
しかし、いざ相談が寄せられ始めると、想像以上の重圧がのしかかってきたのです。
「通常の人事・総務業務と並行して対応しなければならない物理的な負担はもちろんですが、何より精神的な負担が大きくて……。
泣きながら訴える社員の話を聴き続けると、こちらまで気が滅入ってしまいます。
それに、『私は本当に中立に聴けているのか?』『事実と感情をうまく切り分けられているのか?』と、常に不安でいっぱいなんです」
Bさんのこの悲痛な声に対し、弊社コンサルタントは深く頷き、こうお伝えしました。
「Bさんがパンクしてしまうのは、ある意味で致し方ないことです。
むしろ、真面目に向き合っている証拠です。相談対応は片手間でできる業務ではありません」
そこで、今のBさんの状況を整理するために、「窓口担当者の危険度チェックリスト」を一緒に確認することにしました。 -
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【チェック】Bさんの状況、あなたの会社でも起きていませんか?
次の項目に当てはまる場合、相談窓口担当者が限界に近づいている可能性があります。 -
□ 担当者が専門的な研修を受けていない
□ 相談窓口の担当者が1名のみで運用されている
□ 担当者の精神的負担が大きい
□ 判断に迷った際に相談できる相手・体制がない
□ 社員の利用状況について、アンケート等での把握ができていない
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「……これ、全部いまの私です」
チェックリストを見つめながら、Bさんは力なくつぶやきました。
実は、これらの項目に2つ以上当てはまる状態は、担当者個人の問題にとどまらず、組織としても非常に危険なサインです。
なぜなら、どれほど制度を整えても、実際に運用するのは“人”だからです。
・相談者が安心して話せる関係を築くコミュニケーションスキル
・感情と事実を切り分けて捉える発想力
・内容を整理し、経営層へ的確に伝える力
これらの対応力を身につけるためには、専門的なトレーニングが不可欠です。
もし担当者が孤軍奮闘の末に対応を誤れば、相談者は二度と声を上げなくなる可能性があります。
それどころか「相談しても無駄だった」という認識が広がり、相談窓口そのものの信頼を損なうリスクもあります。
だからこそ、担当者個人のスキル向上に加え、相談窓口は複数名体制で運用し、チームとして対応できる組織づくりが重要です。
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窓口担当者を「社内の誰か」が兼務し、孤独な状態で重圧を抱えさせてしまうケースは少なくありません。
担当者の心身がすり減ってしまえば、制度自体が機能不全に陥ってしまいます。
担当者をこの重圧から救い出し、悪評が広まるリスクを防ぐには、どうすればよいのでしょうか。
次回は、その具体的な解決策をお伝えします。
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- エィチ・シーサービスでは
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相談窓口担当者様が抱える「属人化」や「業務過多」といったお悩みの解決をサポートしています。
担当者様一人に過度な負担が集中している状況は、組織のリスク対応において危険信号です。
現状の運用体制に限界や不安を感じている企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
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【前編】「相談窓口担当者って、こんなに大変なの?」孤軍奮闘する担当者のリアル