〈前回のあらすじ〉
社外窓口に寄せられた相談をもとに、社内で個別ヒアリングが実施されました。
「感情的な叱責」「公の場での吊し上げ」「人格否定」といった要素から、パワハラの恐れありと判断。
上司の強い“指導”が、部下にとっては“威圧”として受け取られていた現実が浮かび上がります。
- 「またミスか!」会議での吊し上げ──相談者のSOSに耳を傾けたとき【前編】
- それは「厳しい指導」なのか?──パワハラの境界線を見極める【中編】
- 信頼される職場づくりとは──“声が届く仕組み”が会社を変える【後編】
社内調査の結果、取締役・相談者の双方に改善の余地があることが明らかになりました。
相談者からは、「今回の謝罪と再発防止の取り組みがあれば、懲戒処分までは求めません。
自分にもミスがあったことは認識しており、今後改善していきたいと思います。」との意向が示されました。
これを受けて、問題のあった取締役には、今後同様の言動を繰り返さないよう注意がなされ、
本人も自身の行き過ぎた対応を認めて謝意を示しました。
会議体の運営方法や進行ルールの見直しも実施されました。
さらに、今回の事案を契機に、社内全体へ改めて「指導とハラスメントの違い」を明確に示すガイドラインが共有されました。
形式的な対応にとどまらず、現場の納得感を重視した改善が進められたのです。
相談対応を終えた後、人事部のAさんはこう振り返ります。
Aさん:
「私たちがいくら“相談してね”と呼びかけても、社員が声を上げられないのには理由があります。
上司が関わっていたり、感情が絡む話は、社内窓口には持ち込みづらい。
だからこそ、外部窓口のような“別の経路”が必要なんだと感じました」
実際、今回の相談も「会社への信頼は失いたくないけれど、社内には話しづらい」という気持ちから、社外窓口に寄せられたものでした。
報復を恐れる気持ちや、人事との距離感──そうした“言えなさ”を乗り越える手段として、外部の中立性が機能したのです。
エィチ・シーサービスの社外相談窓口は、ただ話を“聴く”ことにとどまりません。
相談内容を事実ベースで丁寧に整理し、相談者の匿名性を守りながら、必要に応じて企業へ橋渡しを行います。
そうすることで、「声が行き場を失わない」環境を企業の中に根づかせることができます。
コンサルタント:
「今回のようなケースでは、初動がとても大切です。
“どうせ何も変わらない”と感じさせず、“声を上げてよかった”と思ってもらうこと。
相談があったときの初動が、その後の信頼回復に大きく影響します。
Aさんのように、“声を上げてくれてありがとう”という姿勢を企業全体で持てるといいですね。」
Aさん:
「指導とハラスメントの線引きが曖昧な管理職がいるのは事実です。
これからは“指導の仕方を学び直す機会”を意図的につくり、組織の中で共有していきたいです。」
コンサルタント:
「定期的な研修の実施などもいいですね。その際は私どもエィチ・シーサービス株式会社がお手伝いさせていただきます。」
相談対応を通じて、改めて見えてきたのは「信頼される職場」は、“仕組み”でつくる必要があるということでした。
属人的な対応に任せず、誰でも安心して相談できるルートが用意されていること。
その声に誠実に応える姿勢を、組織として持ち続けること。
その積み重ねが、社員の信頼を支え、職場の風土を少しずつ変えていくのです。
エィチ・シーサービス株式会社では
- 社外相談窓口の設置・運用支援
- ハラスメント対応研修・初動対応アドバイス
- 管理職向け「適切な指導とハラスメントの違い」研修
などを通じて、「声が届く職場づくり」をサポートしています。
・「現場の声が見えにくい」
・「何がハラスメントに当たるのか不安」
・「管理職の指導力にばらつきがある」
そんな課題を感じているご担当者さま、ぜひ一度ご相談ください。
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